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カンニングしていい?〜8号室まほろば通信09

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むかしむかしのおはなしです

南阿佐ヶ谷にウラナイトナカイというお店があった頃のお話です。
お店の1Fは占いブースで、2Fはセミナールームになっていました。

2015年9月11日のレイアウト

前の路地を通る人たちがなんとなく覗き込みながら通り過ぎて行ったり、夜の遅い時間帯になると近所の飲み屋さんでできあがっちゃったご機嫌なグループが乱入してきたり、暇そうでややこしいご年配の人がどっかり座り込んで帰らなかったり、何度も何度も店の前を行ったりきたりしていた人がいかにも「偶然通りかかりました」みたいなテイで勇気を出してドアを開けて入ってきてくれたり、なんかいろんな記憶が蘇ります。

二階はこんなかんじでした。実際にはあと4席くらい後ろ側にあるんだけど。

2015年8月5日トナカイノニカイ

相談相手としてのタロット

平日の午後や夜には、この二階スペースで、まついなつき店長がお仕事していることが多かった。
細くて傾斜のきつい階段をゆっくりゆっくりのぼって「こんにちはー」って、ちょっと立て付けの悪い襖を開けると、だいたいそこにテンチョーがいて、広いテーブルいっぱいにタロットデッキが並んでいて、その横でパソコン開いていて「おお。たまちゃん」って挨拶してくれるんだった。

広げられているデッキは、白猫タロットだったことが多いかな。テンチョーは原稿を執筆しながら、途中でアイデア出しが必要だったり、なにか決めなきゃいけないとか、どれか選択肢を選ぶときとか、すぐそばにタロットがあればパッと引けるから便利なんだよって言っていた。そうか。相談相手としてタロットを使えばいいのか!そのためには仕事用の広いテーブルが欲しいなという夢ができた。

ちょっとカンニングしていい?

ちょっと時間がありそうなときは、その週にあった面白かったこととか、最近発見した新情報とか、ちょっと困ってることとか、なんとなくちょっと報告したり、世間話したり、くだらない話をしたり、忙しそうな時は「はい」って、目で挨拶するだけだったり、なんかいろいろ。ひとりで仕事している人たちがちょっとすれ違いがてらにコミュニケーションするいかにも「職場」ってかんじだった。

そうそう。なんか話しているとき、その話題や目的によって、テンチョーは「ちょっとカンニングしていい?」って、手元のタロットをぺらっとめくったり、タロットデッキをパカっと開けてみていることがあった。それはもう生活の中でふだんから自然に「ちょっとタロットさんに相談」して「ヒントをもらう」仕草なので、あれかっこいいな!わたしもやってみよう!と、さっそくやってみるわけ。

さっそく「カンニング」してみた

飛び込みのお客様からの「片思いの彼がつれない」という長い長いご相談を聞きながら、パカっと手元のタロットデッキを二つに分けたら、チラッと覗くカードは「ペンタクルスのクイーン」。あらら。残念だけどこのお相手にはきっと長く付き合ってる彼女がいる?すでに結婚してる?などなど脳内でちらりと想像しつつ、カンニングはあくまでカンニング。だからそれは申告せずにお話を聞いていた。

占った結果を教えてもらえるのは、ものすごくありがたい。当たらなかった話でも、率直に教えていただけるのはとってもありがたい。だいたいは占いっぱなしで、どうなったか検証できることはほとんどない。でもきちんと結果と照らし合わせて検証する経験を増やさないと、占いってなかなか上達しない。

で、ですね。このお客様が恋焦がれていた相手には、やっぱり結婚目前のお相手がいたんだそうです。お客様にとっては残念な結果でしたが、またもっといい人に巡り会えますように!

ペンタクルス、地味だけど現実的にはいちばん強いのよなーとしみじみしつつ。

2015年8月28日

これは金曜夜の店先の風景。二度とないこの景色です。

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