都営三田線の板橋本町駅をおりて、交通量の多い道から2-3本外れると、旧中山道があります。古い商店や新しいマンションが立ち並ぶ住宅街のゆるやかな坂を南のほうへ下りながら5分ほど歩くと、マンションの隣に突然現れるのは「縁切榎」という大きな木とお社です。すぐ前の信号のある交差点の名前もそのまんま「縁切榎」の看板が出ています。道をはさんで向かい側には、長寿庵というお蕎麦屋さんがあります。とてもおいしそう。
関東最強の縁切スポットという噂はだいぶまえから耳にしていましたが「縁切?」なんだかちょっと怖いところ?わざわざ訪れるモチベーションも湧きませんでした。だってほら、京都の有名な縁切スポットとかちょっと怖そうじゃありませんか。わざわざそんな怖いところ行きたくないなーとおもってたわけです。
それにしてもその由来をみてみれば「文久元年に皇女和宮が14代将軍徳川家茂に嫁ぐ際、縁起が悪いとしてこの場所を迂回したという逸話が残っているほどです」というので、なかなかパワフルそうじゃありませんか。わざわざ切りたい縁ができたらお世話になってみたいかも。とおもったのはいつのことだったでしょうか。
最近になってこのあたりを頻繁に訪れる機会ができました。どうやら、なんだかさっぱりと爽やかでとても気持ちのいいスペースなのです。とてもだいじにされているところなのでしょう。「悪縁を切って良縁を繋いでくれる」と、崇敬されているのも納得です。いつ通ってもだいたい参拝者がいて、土日だとずらりと行列ができて満員状態なのも見かけます。さっそくお参りさせていただきましたが、なんといいますか清涼感があります。気持ちがスッキリするのです。
絵馬は自動販売機で1000円ですが(あの場の維持費としてお支払いするのは順当だと思います)かけるスペースもないくらいにみっちりとずらりと掛けられています。絵馬に貼る個人情報保護シールも準備されているので、他人の秘密を覗き見たりみられる心配もありません。病気の母を連れて行きました。「悪い病気の苦しみと縁が切れますように」という思いはきっと「縁切」の切実な願いのひとつでありましょう。
縁切榎からさらにまっすぐ進むと、石神井川にかかる「板橋」があります。
板っぽい色に塗られてるけど、ふつうにコンクリートでした。
鎌倉時代にはもう地名になってたらしいので、長い歴史があるのですね。さすが中山道。
川沿いをぶらぶら歩きながら、地形と歴史探訪をしてみたいものです。